阿呆録 過去帳 2003年 1月〜3月 

■3ヶ月分ごとに一枚のファイルにまとめてあります。下に行くほど古い(ひどい)ものになります。
 この辺の日誌にはタイトルが付いていたりします。リンクには切れているものがあるかもしれません。

■あらすじ:1月…初夢で金正日と脱北。貴乃花引退、モンゴル勢、しこ名研究など
      2月…具合が悪いと言い散らす。それから虫歯になる。コロンビア号、韓国地下鉄放火など
      3月…ロックトゥデー、Mジャクソン。イラク戦争開始直前・直後で動揺、様子がおかしくなる

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2003年3月28日(金)

 スパムをマメに受信して、マメに消す。何も戦のニュースを一日見ているわけではなく、その他の曖昧なルーチンワークもいそしんでおるわけです。それで23:00就寝、7:00起床ですよ。バグダッド時間で。

 NHKの深夜画像が熱帯魚や世界の景勝地ではなくバグダッドになりましたよ。台風の時延々天気図が出ているようなもので、しかも生中継映像です。オレンジ色の街灯に照らされた夜のバグダッドを、市民の自家用車がただただ走っている。バックグラウンドには切ない曲が激しく泣いていて、これ合わせてどう見ろというわけですか。数えると5分で17台の車が通 りました。

 テレビやインタネットを見ているときは、何となく自分が、世間を凄い勢いで飛び回る、小さな人差し指の先になっている気がします。それで、もの凄い勢いで世間を斜め読みしている。ダリの絵にもそんなうろつく指先が描いてあったんです。いやそんなことより、たまにはインコに触りたいんです。

2003年3月24日(月)

 わたくしの母ちゃんは先の大戦中、一度焼け出されたのち別の家に引っ越したのです。そんな母ちゃんがいておまえいくつなんだと、いま思いましたね?高齢出産、高齢出産の子供なんだよ。

 引っ越し先の家には、庭を掘って作った粗末な防空壕がありましたのです。あるとき空襲警報が鳴り、母ちゃんと母ちゃんのおばあちゃんとで、その防空壕に入りました。すると近くに爆弾が落ち、その振動で壕が崩壊。土をかいて何とか這い出したそうです。

 学校帰り、集団下校の途中ですが、上空に米軍機が飛んできた。おやっと思う間もなく機銃掃射。道の脇に溝があり、そこにもぐり込んでいるとやがて敵機は去ったそうです。見渡せば何人かの生徒は、死んだり怪我をして起きあがらなかったと言います。

 その後、疎開を経て1945年の8月、つまり終戦間際に一家は新しい家に集合します。もう日本は降伏するらしい、そういう噂も流れていたんです。ところがその数日後。暑かったので、本当は義務として防空壕で寝るべきなのですが、家の二階で大の字でした。夜中にハッと目覚めると窓の外が真っ赤に。

 「何で夜中に、急に目が覚めたの」と、わたくし訊いたのですよ。「爆弾の音でもしたの」。「爆弾が落ちてきたんだよ。凄い音がして、目を覚ましたら屋根に穴が開いて、畳に焼夷弾が刺さってたんだよ」。その空襲で街じゅう焼け、今度こそ本当に文字通 り全財産が灰になったのでした。

 何となく、その爆撃やら機銃掃射をした米兵に会ってみたいんですよ。まだ、健在ならば。別 に胸ぐら掴んでコノヤローと言いたいわけではないのです。「あなたの飛行機の下に私の母がいましたよ」と言ってみたいんです。何となくね。

 たぶん普通の人なんだろうなあ。

2003年3月22日(土)

 「世界は二つに分かれた」という考え方はそんなに珍しくないものなんですかね。ビン・ラデンとブッシュも相次いでそんなことを言った。宗教や政治のカルトに入ってる人は、普段からそんな風に考えているようですよ。

 同罪、ともよく耳にします。罪とされるのは法律に違反するか神に反抗するか、どちらかの場合ぐらいしか思いつかない。重々しい概念に感じます。法曹もしくは神の視点から発するような言葉じゃ、ありませんか。正義もみなぎっております。正義が人間を硬直狭窄させ、狂ったように攻撃的にさせるのはどうしたものか。これまた、一部の人にしか扱いきれない概念なのでありましょうか。

 世間は罪と正義に席巻されたのか。んなこたぁない。

 ともかく、オールオアナッシングの極端さがよいとは思わないです。

 ところで、わたくし湾岸戦争の記憶がありません。そのころはまだ生活が安定せず、起きて働いて食べて寝るばかりの暮らしでした。社会の情報はかなりのムラをもって得ていました。湾岸戦争についてはテレビでも新聞でも見ていません。空襲の実況中継を見るという経験は、今回が初めてです。ものすごく、ビビってます。

2003年3月21日(金)

 一日、一日が長いです。

 クエートの街はらくだ色のビルがそびえる、CGのようにかっちりした近代都市でした。空は砂嵐で曇り、火星の街を見るようです。クエートまでは-6時間、バグダッドまでも-6時間、日本の日付が変わる頃もエルサレムは薄暮の内にあります。

 付けっぱなしのテレビに延々と砂漠の映像が。CNNは軍用車を改造して記者を乗せ、戦車部隊の後に付けて走らせているのでした。最前線の兵士が見ている風景が、生中継で届いてまいります。

 白夜のようなけぶった土地を戦車が列になって進む。キャラバンのようです。バグダッドまであと200キロ。ゲストの軍事評論家は英米戦車の色味の違いを見分けます。戦車も兵士の制服も、砂に紛れる白っぽいらくだ色。地面 に寝て銃を構える兵士の前を、投降してきたイラク兵が均等な間隔で通過していきます。

 夜、戦車部隊は止まって休むものなのか。発熱装置で温まるシチュー。真空パックの黴びないパン。米軍自慢の糧食が兵士の胃袋に入る。何かあれば体と共に四散してしまう胃袋は、今は消化をしてるのです。ゴールデンタイムの終わる頃には、まが鳥のように黒く巨大なB52がイラクにやってくる。爆撃機が来ると知っていて夜になっていく、これどんな気分なんでせうか。

■それと関わりなくこんなメールが来た(リンク切れ注:指定の女性にエロいことをしてビデオに撮ってあげますという、珍業者の手紙)

2003年3月20日(木) ヘタレゲットー

 イラク攻撃が開始され、次は北朝鮮でこれが?という想像は特に、心筋を縮めるものがあります。今までに経験のないガチンコ戦争当事者の可能性が近づいているのか。そして下の日誌にては、自己正当化が出来ないと気づいて保身根性が暴走する、ヘタレにありがちなシステムエラーが見て取れると思います、焦っているんです。

 かつ、怯えているんです。人々の言うことが極端になってきた。開戦に反対しないものを断罪し、開戦に反対するものを弾劾する。敵はイラクや米国ではなくまず周辺にという戦争になっており、主題はすでに別 の所にあるようでした。(い)でなくて(ろ)でなければ(は)というゴミ箱の中なのでせうか。誰と戦いたいのですか。

 いえ、正義は絶対的な価値観なのでした。他の有り様を許容し続ければ、それは成立しませんですよね。

 ラムズヘルドの家の前で奇声を上げると戦争が止まる。座り込みとデモ行進で戦争が止まる。そうは、思っていないでせう。そも、デモは手段であって目的にかわるものではなく、けれども関心の惹起とか主張することそのもの、自らを自らに対し正当とするため、いろんな目的が付いている場合があります。何を達成するのですか。

 それやこれやはすべて枝葉で、戦争それ自体に直にかかわることではありません。わたくしには視点も理論も力もない。おまけであるべき個人の感性を中央においてもそれでは発電しない。先づ落ち着いて、迷ったら見える道だけ、シオシオ辿るべしなのです。

2003年3月19日(水) 驢馬の耳

 99%ぐらいの高確率でイラク攻撃が始まりそうなんですよ。20日の午前10:00以降かイラクの出方によってはそれ以前にも開始になりそうです。いつになく緊張を感じ、日本国も半ば戦時下に入るような気分がします。それは単純に感覚的に言ってるのでして、自分の行動を振り返ってみても切迫感ゼロ。「米国まずいと思うよ」という考えであるにもかかわらず、結局は家にいてテレビでニュースをくさしながら「相変わらず格好悪いな日本のデモはよ」なんつって過ごしてしまったわけでしたよ。

 そういう点で投票をさぼった人と同じぐらい、わたくしに一切を是非する権利はない。何を考えていたにせよ公の場に出さなかった意見は見た目に無いのと同じ。波風立てないマッスの静かなる平面 を構成する、名もなく顔もない存在、一朝事あれば沈黙し、やり過ごし、あとになってブツブツ言い出す、大衆というカテゴライズの他は特に語られることもない、消費される存在としての自分でありますことよ。

 終わり。

 終わらなくてもいいだろ。

2003年3月18日(火) ボコーダーで読む街路の憂愁

 プロジエクト×はたまに観ますので、観れば「ええ話や」と率直に感じるものであります。ドチュメントというより「物語」を強調した感じがいいんでしょうね、あれね。それにしても、俺ら単純労働者には物語がないな。物語は単純労働者には来ないんだよ、わかってるよな?単純労働者ってことは、特殊技能がないちゅうことなんです。まずもって専門家でなく、その上売るべきサムシング・スペッサルがないちゅうことなんです。手持ちで売れるものといったら時間ぐらい。それで、時間を売って食っているんです。わたくしの時間は終生只じゃないの、値札が付いた売り物なの。こうして是と言いようもない話に無駄 に付き合っている内にも、一秒ごとに小銭の落ちる音が聞こえない?なあ、あんちゃんよ。と、今度不動産のセールス電話がかかってきたら上の一行目から句読点なしで言ってやりたいです。

 たぶん言わないであろう(予言)。

2003年3月16日(日) 記憶のダイナマイト漁法

 蓮池夫妻がロウリングストーンズ観戦だそうですなや。観戦じゃない。

 ソ連のロックを撒き餌として思い出すだに、80年代はいろんな国のロックバンドが知られるようになったよと、例えば中国とか韓国のバンドなんて当時はなんだか意外だったのであります。毛沢東が作った国からロック。ハマー&シックル(ハンマーと鎌)が社会主義のロック&ロールだと思っていたけど、本当のロックバンドが出てくるとはなぁと。「唐朝楽隊」とか「黒豹楽隊」という漢字の名前もある意味ショッキで。

 今になってみれば、情報の流れる道筋や速度というのは確かに変わったように思います。米国で或るバンドが人気を博すと、日・中・韓からほぼ同時に或るバンドみたいなバンドが出てくる。かと思えばいまだにストーンズ公演で演奏禁止曲がある中国。中国には「糞狗」「脳濁」なんて名前の楽隊もいるけれど、セクシヤルは御法度なんですね。江たくみんはロックなど聞かなかったでせうが(GLAYを呼んだけど)、胡きんとうさんはどうなんだろな。

 そのようにわたくしが青っぽい小僧だった時代、テープトレーディングというものもいたしました。現在はインタネット経由で音楽の交換が出来ますが、当時はカセットテープと郵便で録りっこしたのです。これもブルネイのように意外な国から手紙が来て、いろんなところにロック愛好者は居るもんだなと感心しきりでありました。彼はマレーシアの壮絶なデスメタル(極端に重々しく攻撃的なヘビーメタル)を録音して送ってくれたんです。

 その当時はブルネイやマレーシアに対するイメージがなかったのでしたが、考えてみればイスラム教国で、ロックはオッケーだったのか?しかも、デスメタルでいいのか?と今更ながら少し心配であります。かつてのヘビーメタル少年はブルネイでどのような大人になったもんでせうね。

■国際歌(ワンコーラス):ヘビーメタル版インターナショナル。唐朝楽隊。

2003年3月14日(金) ラジオ航海図

 「お腹が痛い」という夢を見てました。起きてみたら気を付けの姿勢で完璧なまでにべったり俯せになっており、顔が枕に埋まっていたんです。一瞬自分は何してるのかと思いました。お腹が痛いはともかく、息苦しい夢になってしかるべきじゃないかと。

 かつて、外国の短波なんかを探して聞くのがブームだったんですって。うまく受信できたら局にリポートを送る。するとリポート受領の証として局名入りのカードが送り返されてくる。カードを集めるのも楽しみの一つだったそうですよ。放送電波を探す遊び、想像するだに、しびれるでしょうね。電波とダイヤルと耳とで、世界の実在を確かめる冒険だったんでしょう。たぶん。

 わたくしは別段熱心なラジオ聴取者でもなく「ニッポン放送にはよくモスクワ放送が混信した」という、よく見かける逸話にも覚えがない程度です。そんな中でも思い出深いプログラムとしては「伊藤政則のロックトゥデー」というラジオ日本の番組。ヘビーメタルやハードロックをかけてくれる、当時貴重な番組でありました。

 ロックトゥデーではいろいろなバンドを聴きましたが、初めてソ連のハードロックバンドを耳にしたときは驚いたものであります。泣くがいい…声を上げて泣くがいい…(注:伊藤政則・名フレーズの一つ)じゃないけど、ソ連からロックバンドが!世界って変わるんだな!ぐらいの、青く瑞々しい驚きであったと記憶します。

 曲のタイトルは未だに覚えており、もしやと思いインタネットをたぐってみると、ちゃんといらっさるんですよね。ソ連のハードロックをきっちりファイリングされている方が。アヴグーストというバンドのアリョール(鷲)という曲でした。セカンドアルバムの1曲目…CD化されてないだろうなぁ。

 かうしてインタネットを渡り歩いているときは、透明な箱が膨大にきっちり積み上げられたマトリョシカ的迷路を巡っているような気がします。箱の配置をパズルのように組み変え、道をつなげていく探検というように思われたり。ラジオの冒険とはまた違っているでしょう。

2003年3月10日(月) 寂尊縁起

 朝青龍土俵入りの化粧まわし、三つ揃いのやつですね、あれなかなかいいです。朱赤の地に金糸で太陽と馬?が描かれている。大きな面 積の赤色と、房飾りの暗い紺色の強い映り具合。絵柄も合わせいかにも異国風味で、大陸から来た横綱をアッピールしておるのですよ。

 先日記しましたマイケル・ジャクソンの特番、これに対抗する「反論番組」というのもあったんです。週末にやっていましたよ。先の番組の編集方針とは逆のマイケル像を持つ人々の発言、などをまとめてありました。んでそんな視点から見直したマイケルとは、ズバリ、奇妙な人物。結局それを確認したと申しましょうか。

 似た振動音を出す共感者がいるのをみてもアチラのショウビズかいわいでは、充分許容の範囲なのかなぁ。または「俺は変じゃない」と反論しなくていいじゃんマイケルよ、とも思います。ああたの好きで変なんだから落ち着きなさいよと。洒落にならないのは子供が深く巻き込まれている点でありませうか。

 マイケルのように濃密な変梃世界を構築している人物、何かが過剰な人物に興味が津々で困ったもんです。俗物なんです。奇妙な人が奇妙に暮らしていること自体には、共感をおぼえたりするんでありますけれど。

2003年3月7日(金) 支配

 たばこが止められないのが悩みです。日々ニコチンのために呼気吸気しております。細い紙の筒で不完全燃焼を起こす乾燥たばこの葉。不完全燃焼が何よりも大切であります。煙を吸い込んで肺胞から時速60キロのスピードで脳にニコチンを届ける。レセプター結合成功。受信完了。恍惚を認識しましたオーバー。

 あるところで「ニコチンの依存性の高さはヘロインに匹敵」と書いてあったんです。いくら何でもヘロインはないだろうと思いますが、試みに以降、全ての「たばこ」と「ニコチン」を「ヘロイン」に変えた上で自らの生活習慣をつづってみることにいたします。

 例えばヘロインをたしなむ方の場合、ヘロインケースに凝ったりライターに洒落たりするのでせうが、わたくしはジャンキーなので現物と100円ライターがあれば良いのです。朝起きたら、まずヘロイン。寝ているあいだ6、7時間もヘロインを吸わなかったのですから、朝の飢えは強烈である分、摂取したときの恍惚感も強いのです。

 ヘロインを吸っているとまるで食欲がなくなります。大抵の場合、食事は食後の一服欲しさに食べます。職場ではしつこく、間断なく、猛烈に吸います。ヘロインの摂取で恍惚感だけでなく、集中力を高め頭を切り換え、またリラックスすることも可能だからです。このようにヘロインと共にヘロインのために、ヘロインの支配によって、働き支払い起きて寝ることがわたくしの日常であります。いやマジで。

 やばいね。

2003年3月6日(木) 春の嵐

 貧弱猪木こと春一番が吹いたと思ったら再び木枯らしに圧迫感を感じつつビルヂングの隙間を歩いてくるんですよ。わたくしは。

 リビヤのカダフィ氏がアラブ首脳会議の席上で湾岸戦争当時の情勢に触れ「イラクがサウジアラビヤに対する攻撃姿勢を見せていたから、結局サウジは米軍受け入れを決めたんだよね」となぜか歴史の確認。サウジの代表はぶんむくれ、会議が紛糾するのでした。カダフィさんは時折本当のことを言う。でもタイミングは常に最悪。そういう印象があります。

 そしてイスラム諸国会議機構・緊急首脳会談、now available。冒頭演説からイラクがクウェートを「シオニストと結託」と非難、以降激怒したクウェート使節団と罵り合いになったのでありますよ。「汚いぞウソツキ」「だまれサル。おまえのヒゲを呪ってやる」生中継していたカタールのテレビ局(アル・ジャジーラだろうか)は思わず画面 を静止画像に切り替え「しばらくお待ち下さい」。

 ヒゲは大事なのよ。

 で、時空は今朝に戻ります。「三浦かずよし氏 無罪」というニュースで目が覚めました。ロス疑惑。第三者にとってはすでに懐かしいという感覚であれ、当事者にとっては長すぎというべきか。すっかり年を取った三浦元社長、NHKではさう言う肩書きだったのでして、今も彼独特のフルハムオーラとでも言うべきものが滲出しています。この匂いは何かに似てると思うとき、脳の一部が「火野正平」とささやくので、ありましたが。

 春先だからなのかこのところずっとめまいが続き、体調が混乱している様子です。本日は寒気までがまといつき、夜になると何やら手首に違和感が。見ると控えめながら帯状の領域を持つじんま疹が発生していた。うわっ、何だろう気持ち悪い。観察。

...

2003年2月28日(金) すべての道は老婆に

 下に書いた月の話でありますが、月が静止衛星になるためにはその公転周期が地球の自転周期と等しくなればよろしいようです。

1)月の自転周期(甲)と公転周期(乙)が等しいため、月は常に同じ面を地球にむけている
2)甲と乙が地球の自転周期と等しくなるとき、月は同じ面を地球にむけたまま静止衛星となる

 と、いうことを言いたかったのでしょうかわたくしは。そして2)が起こるのは今から40億年後、地球の一日は960時間になっている見込みとききます。夜だけでも今の時間概念でいう20日間あるのですから、月の出ない側に住んでいる人も飛行機に乗れば充分お月見に間に合いましょう。けど40億年もしたら、そろそろ太陽がでっかくなっているんじゃないのか。地球は健在なのか。

 と、申しましょうか。又聞きでいい加減なことを書くなと、反省しましたプープー(おびえ鳴き)。わたくしみたような又聞き野郎は、自ら狩猟して知識をぶんどってきたわけではなく、切り身のパックをスーパーで買っている末端の情報消費者という立場です。それはキツネ狩りとイチゴ狩りぐらい違うのであります。そんな知識はせいぜいがスナック芸であると、わきまえたく思います。

 サテ昨日までで、一通りの歯科治療が見事終了。最初の非破壊検査により3つの、ザ・いたちの枢軸国が発見されていたのでして(そっちなのか?)、そのうち2つは撃退されたのであります。残る1つは手の施しようがなく、放置。これは我ながらブルーな事例でした。その歯はだいぶ以前に治療して神経を除去し、金属の冠を被っています。ところがエックス線写 真を見ると根っこも歯の本体も写っていませんでした。

 医師の見解では、根は顎の骨に吸収されたであろうと。神経を抜いた歯には起こりうることだそうです。神経がなくなると栄養が来なくなる。ゆえに最近の歯科治療ではなるべく神経を残す方向で行くのだといいます。本体の方は恐らく虫歯でほぼ崩壊、再建できる見込みは薄い。「使うだけ使ってあげましょう」と、いうことなのであります。近い将来必ず落ちちゃうんだな。

 ああた、歯が抜けるとなるとホントに年寄りになった気分ですよ。ガックリ来ましたね。さう言えば、親不知を抜いたあと「記念に(抜いた歯を)持って帰りますか?」とたずねられました。分裂した個の実例として飾っておけとでもいうのか。いや結構と断りました。それを屋根に投げたところで(下の歯だったのです)親不知が再び生えてくる訳でもありません。鮫みたいに何度でも歯が生えてくればいいのになぁ。

 そういう習慣がありましたか?下の歯が抜けたら屋根に投げ、上の歯が抜けたら縁の下に入れる。乳歯の場合ですよ。そうすると丈夫な永久歯が生えてくるヨと言われていたのでしたが。が。

2003年2月27日(木) 月の暗い領域

 広島市に今月隕石が落ちまして、ブシッと倉庫の屋根を貫通。これは9,000万年のあいだ宇宙を漂っていた隕石であること、判明したのですと。9,000万年ね。なおもって一定の期間を現すに過ぎず、永遠という意味ではないことが不思議になるほど長い期間であります。9,000万年の孤独。一体何を思っていたのだらうか。何も思っていない、石だから。そこがたまらなくいいのであります。

 本日の月齢は25です。歌にもならない廿五夜、ほそーい鎌の形のはずであります。はずというのは、今夜わたくし月を見上げなかったから言うのでございます。

 月は細くなったり太くなったりするものの、兎に似た斑(ぶち)は変わることなく見えております。月それ自体は確かにまわっており、地球の日時で言うと27日余で一回転するそうであります(甲)。それにしても兎の斑以外の模様が見えてこないのは、全く同じ時間をかけて月が地球を周回しているからです(乙)。甲と乙が1:1の関係であるとき、衛星は一面 だけを主星に向け続けるのであると、いくぶん反り返りながら、又聞きで。

 まわっているのに裏側が見えない月。

 小児の頃、月の裏側という写真を見ました。念写のようにぼやけた、月とも思えない異質な姿がなぜか恐ろしかった、という記憶は脳のねつ造という可能性もあります。記憶は現在によってしばしば変質を得ますゆえ。月の裏側にある暗い領域をロシヤ人は「夢の海」と名付けました。地球からは見えない、暗い夢の海にいる。

 誰が?

 計算の上ではいつか月のまわる速度が、地球のまわる速度に等しくなる日がやってくると言います。するとどうなるのか。月は空の一角に静止して特定の地域からしか見えなくなるのであります。地球の裏側にある、見えない月。見ている人もいないかもしれない。

 かうしてあらぬ方向から物事を噛み直すと、頭の隅がもやもやいたします。エラー。頭蓋の暗がりに雲を満たしたまま、ダリの絵のやうに記号の沙漠で立ちつくす時、ぼやけたものは恐ろしく、知らない出来事は神秘の内にあります。神秘が明文化されてなお、空想癖止むことなく、そんなときのわたくしは、確かに何も考えていないのだ。あたかも石の如く。

■月の裏側:ソ連(当時)のルナ3号が撮影したもの

2003年2月25日(火) トランスミッション

 ゆうべはマイケル・ジャクソンの特番を見ながら激しく興奮したので、そのせいか朝からめまいがいたし、突然世界が溶けたのかというようなトランス感が特に点字ブロックに乗った時に出現します。しかもテレビをつけたら北ミサイルで、ノムヒョン政権の幕開けに号砲ということでせうか。ミグ19。そしてシルクワーム。ソ連の遺産が次々飛んできましたよ。

 マイケル・ジャクソンは自作のファンタジーバリヤーにこもり、マユから足を出して歩くような人生です。マユの中は彼が自在につけたり消したり出来る宇宙なのです。買い物が好きで、派手な飾りツボがついた置物を沢山買っていました。贅沢かつ孤独で切なく、怪物的な暮らし。金正日はテーマパークのような平壌市にこもっている。こちらの方は、マユにこもるにはおおやけ過ぎる立場を持っています。

 点字ブロックを踏んでトランスしながら東京駅に向かい「ポン栗」というものを買いたかった。栗が好物です。ポン栗とは大きな栗で作った焼き栗であります。はぜたように皮に切れ目が入っているんです。大丸で売っているらしいと聞いたものの店が見つからずさまよい、気が付くと9Fペット売り場に入り込んで躍動する毛玉 を前に半眼。セキセイインコ・オス\4,000。メス\4,500。白色レグホンでなくともメス\500アップという、謎。

 羽毛のイメージを前頭葉一杯に横溢させながら、まったく来ないエレベーターを待ってしまい、その上うっかりB1で降りたらば、ひょんな食品売り場の末端にポン栗の店が出ていたのであります。八重洲地下中央口の近くでした。味はまあまあ。フライパンであたため直したらおいしいんではないでしょうか。

2003年2月23日(日) 治癒の途上

 火災事件といえば、米国でナイトクラブが焼けて死者96名という大惨事に至ったのでありました。出演バンドが使った花火が引火したのだとか。その出演バンドが懐かしい名前だったので驚き。80年代、思い出すだに恥ずかしい「LAメタル」という、ヘビーメタルという程ヘビーじゃない、明るい楽曲と華やかな演出を持ったロック音楽のブームがありました。その潮流に乗って現れた「グレイトホワイト」。のちによりブルージーな音楽性へと変化したという話で、長生きしていたんですね。ギタリストが行方不明と報道に出ていましたが、その後どうしたのか。

 抜歯の痕は大変けっこうな具合です。抜いた歯はわたくしが唯一保持していた親不知でして、下顎の左側にあったものです。歯肉の上に完全な姿を現しており、白亜の巨塔として、これといった問題も起こさなかった歯でした。ところがレントゲン検査で隠れた実体が暴露されたのであります。中身がない。白亜の巨塔は外側の皮一枚で、内側は虫歯菌の丹精した大空洞になっていた。驚くというより呆れました。国会議員がよく言う「秘書がいつの間にか」ていうのはこういうことかと。

 金曜の朝は近年ないすばらしい目覚めであり、これが最後と歯にシャリを噛ませ、念入りに磨いてやったものです。実際は噛み合わせ上のアウトサイダーだったのですが。最後の抵抗は激しく、歯が歯肉に付く力とそれを引き抜こうとする力が下顎の一点に激しく拮抗し、最終的にもう頭蓋骨もげると。顎とれると。それぐらいの感想でした。生き物から歯を引き抜くという荒行により、親不知はわたくしではなくなり、目的のない孤立した或る実体へと変化したのであります。

 ほうれん草と玉ねぎ、じゃがいもと長ねぎ。もう何を食べても良いと言われたのですが、野菜類を裏ごししてスープにする、これに凝っております。ぬ うっ鎮痛剤が切れてきた。

2003年2月22日(土) 禁じられた遊び(解禁の予定はありません)

 構造改革特区をあっちこっちに作るという謎の展開があるのですが、その一つとして「どぶろく特区」が出来るんだそうですよ。どぶろく作ってもいい区域なの。最低製造量 が決まっていたり酒税納入の義務があったりする。ある程度以上は量を作らなきゃいかんということで、自分一人で、家族で飲む分だけ少しだけ、はバツ。そういうことですか。自家醸造ってあれ、酒税法違反なんですってね。酒税法なんだ。

 以前に見た、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」って映画でしたか。禁酒法が廃止されてギャングの一人がぼやくんです。「堂々と酒を飲んで何が楽しい?」。ギャングの場合は秘密酒場のアガリがなくなるという死活問題なのです。んが、一般 人にしてみたら「ちょっと政府に反抗する遊び」だったかもしれません、こっそり酒を飲むことは。

 現代日本国でたとえば濁酒とか、大きな麻とか、マジック茸とか、禁止されたものをこっそり食べるのがお好きな方もおられるそうです。それもある意味反体制闘争かもしれん。まず理論武装から入るんだな。いや、そうでない場合もありましょうよ。しかし「ちょっと反抗する遊び」だったら、解禁された時「堂々と飲んで何が楽しい?」てなことになりましょうかね?

 効かなくなったりして。

2003年2月21日(金) うつろな肉

 本日の月齢は19との噂です。大虫歯の親不知が抜き去られました。

 顎がもげるかと思う程引っ張られ、わたくしは恐怖感で鳴き始めました。最後にスッポとヤットコが離れて、上の前歯にガーン。こんなに恐ろしかったことは、いまだかつてございません。呆然の心地にて歯科医院をあとにいたしました。

 別の歯にやっと金属が入ってまともに噛めるようになったのに…。

 ちなみに月齢19の時に起きた事件は、松本サリン事件、地下鉄サリン事件、ソ連消滅でございます。

2003年2月20日(木) うろこの塔

 野暮用があって東京都庁に参りましたので、ついでにブラブラと一部を見学。ビバ、巨大建築物。壁面 の質感と色使いが何だか落ち着かない、拡大した昆虫とか爬虫類を思わせる気色悪い都庁が好きです。気の迷いかも。

 北タワー展望室にのぼりました。狭いエレベーターから出ると、遮るもののない広々とした空間を通 して、正面と左右から一斉に鳥瞰風景が目に入って参ります。さながら空中に居るかのようです。歩みにつれて風景も流れ、世界は俺様を中心に回るがごとし。さればこそ支配者の居城は高くあるべし、バカと支配者は高いところに上がれと申し上げたくあります。

 窓から覗くと地上200メートルぐらいでしょうか、その高度にも風に乗ってカラスが舞い上がってきました。孤独な猛禽のようにロンサムクロウ。「おいカラスだ窓あけろ!」と言いざま壁の空気銃に手を伸ばす石原慎太郎を15秒間妄想。案内板を熱心に見なかったので、どこが都知事室かその時はわかりませんでした。実は7階にあったんですね。緊急避難の事も考えると、そんなもんらしいです。なんだ。

 都庁の近所にある本屋には当然というべきか、知事の著作物が、目に付きやすい所に山積み。となりは反米コーナーで「ブッシュ妄言録」のオビタタキには「世界一危険なバカ」と書かれているのです。いくらなんでもそれはあんまりじゃないのか。

 かうして帰り道、すべての作業着風ジャンパーで白髪交じりのおっさんの後ろ姿が都知事に見えつつ、新宿駅を目指すのでありました。

2003年2月19日(水) 地獄

 韓国で大事件ですね。放火により地下鉄が炎上であります。事件のあらましさえぞっとする限りで、変なおっさんが電車の中で牛乳のカートンから液をまくと、ライターをこすっていたそうなんですよ。周囲にいた人が「何をしているんだ」と小突いた途端、液に点火。炎と煙があがり、直後に停電。電車のドアは開かず、換気装置も停止、プラットフォームは地下3階。隣の線路には事情を知らない上り電車が入ってきた。そこからの地獄は想像の外としか言いようもありません。

 それは逃げられんよね。率直に。

 公開された事件直後の写真では、車内で座ったまま口に手を当てる、困惑した人たちの姿も写 っています。早く逃げろよと、しかし不意に奇妙なことが起きたときの反応としては、こういうものかもしれません。枠だけになった二本の電車が止まる真っ黒な駅構内を見るだに、暗い気持ちになるのであります。犯人は自殺志願だったということです。「大勢の人と死にたかった」。彼は生きています。

 韓国紙の記事には東京での地下鉄サリン事件が引き合いに出されていました。そこでは「毒ガステロではないのに、なぜこんなにも多くの犠牲者が…」と言っていたのです。火災で発生したガスが多くの人を昏倒させたと思われることから、地下の閉鎖的な空間で有毒ガスが発生することの危険性を思い知らしめた事例として、少し似たところがあるように思います。

 サリンの折りはうちの近所の駅も封鎖されて警官が立っており、道路も全面通行止めになって、消防のサイレンとヘリの飛ぶ音だけがガランとした街に響いていました。クーデターでも起きたようだったのです。その異様な光景に、報道されているより事態は深刻らしいと青くなったのを覚えています。テレビで地下鉄の出入り口付近に倒れている人たちを見たら、そのことを思い出しました。

 いま、深いところにある地下鉄に乗るためには、平壌駅のそれに匹敵する長いエスカレーターや階段でくだったりもするのです。東京の大江戸線なんかはそうですが、一朝事あれば地下シェルターになり得るほどの深度と言います。地下は安全。蓋が閉まれば、うつぼかずら。そうなんですが、もう使わないと立ちゆかんし。韓国の事件の犠牲者に対しても、安らかにとはとても言えんし、この無惨さならば。

2003年2月17日(月) どうする?

 サダム・フセインというイラク大統領であるところの、ヒゲ男でして、今までの所行を見る限り、自国民を毒ガスで殺害。隣国に押し入って市民を殺害。そのうえ「ここは伝統的にウチの領土」と言いだし、あまつさえ周辺国にミサイル攻撃など、大変なものがあります。守ってあげたくない男です。イラク市民に痛いことしないでとは思っても、サダムを守ってとはとても思えない。

 米国はイラク攻撃に反対する仏独への制裁として、エビアン輸入禁止やらドイツの米軍部隊を一部引き上げる件を検討中と申します。米国はエビアンの他にも色んなものを輸入している世界の上客でありましょう。また大型卸問屋でもあります。米国の穀物を失えば、世界中で人と家畜が餓死するという話も聞き及びます。軍事力、経済力、政治力共に、地球の独裁者になれるだけの力を持っているのですね。

 まれな特質を持ちながら、それにおごっているのか、独裁者になりたいかのように振る舞う米国の行動は誠に残念でなりません。サダムはよろしくない為政者ですが、サダムも含めた世界を力ずくで従えようという米国の思惑にも反発を感じます。戦争になれば、イラクと米国の市民の肉体が政治的に消費されるのでしょう。それは軍隊アリの生態のように無慈悲なものであります。いやだな。戦争、止まないかなあと。思います。

 そうしたことを考えるうち、国とか戦争とかいうものを埒もなくしかもネガチブに考え始めるのでしたよ。このように国家が数多あり、政治的な軋轢が起きうる状況においては、戦争も一つの反応として当然起きうる自然の現象なんでせうか。強い国家が力の劣る国家から搾取するのも、国家がその国民の生命を消費するのも、蟻酸に反応する蟻のように正当な自然の反応と、いうことなんでせうか。

 わたくしとしてはヘタレなりに、国家といっても政治体制とその他の市民としか思えないけど、国家や民族をもっと神秘的にとらえている人もいるのでしょう。民族に、大地に、国家に生命を捧げることは神秘の結合につながる存在として神権的に正当なのでしょうか。でももしかしたら、愛国心や忠誠心や個人という概念そのものも単なるオプションで、国民は数字として減ったり増えたりすればそれでいいのかもしれない。

 それはいやだなぁ。変なこと書いちゃったよ。

2003年2月12日(水) バイオ

 モンゴルでの朝青龍はガガーリンパレード状態ですね。毎日勲章も増えるし。あの馬に乗っている図はいいなぁ。なごみますよ。

 ところで、中国の広東省に謎の疫病が発生、300余名が感染したという話であります。市民は酢を買いに走り、家の中で沸かしている。そうすると菌が死ぬ という、迷信みたいなものらしいです。迷信でもすがりたい、そんな悪疫パニックの構図であります。

 日本国にてはインフルエンザが続々入荷中でして、この先さらに悪質な新型ウイルスが出現しないとも限らない。アウトブレイク。パニック必至ですよ。右肩下がってても「風邪ぐらいで休めないよ」なんつうバブリャーなイデオロギーがまかり通 るこの社会。それはそれは恐ろしいほど菌が蔓延します当然だ。つまり今こそ厚生省とかは「風邪ひいたら出歩かない」という啓蒙を徹底的に、国民に対してするべきなのであります。中国の酢に匹敵する「風邪は気合いで治る」という迷信を断固排撃せよなのであります。

 そのうち米国みたような訴訟世界になって御覧なさいよ。「被告は、インフルエンザに罹患し、保菌者であることを自覚しながら、欠勤によって自己の評価が下がることを恐れ、自己保身のために出社していた。これによって社内にウイルスを飛散させた結果 、原告を感染せしめ、重篤な状態に陥れ出勤を不可能とすることにより、多大な損害を与えた責任を負うものとする」なんてことになって、しかるべく、もう。

 だがしかし、日本人の気質を考えると、これは法律でもない限り結局、風邪ひいて出勤するものは後を絶たない。でしたら法律を作りましょう。「日本国において発生した感染症に対処するための細菌蔓延防止に関する法律」略してテロ新法。空気感染する細菌を体内に隠匿して許可なく持ち運んだ場合、バイオ・テロリストとして3年以下の懲役または20万円以下の罰金に処す。どうですか。

 問題ありそう。成立しないね。

2003年2月10日(月) マニヤ

 なんだか春めいてきましたよ。もう暖かくなってしまうのか。やや残念の心地であります。

 終末に日テレの深夜番組では、北朝鮮研究の権威が集まって飲みながらおしゃべりする、という企画でありました。M塚先生、マニヤなんですね。研究者ゆえ担当の事物に詳しいのはこれ当然として、マニヤかどうかというのは「記念品」を大量 に集めているかどうか。また記念品や微細な情報をいかにも嬉しそうに披露するかどうか。これはわたくし個人の判断基準であります。

 研究者の場合記念品も「資料」ということになり、マニヤ性が見えづらくなる。しかし、この度は周りが皆権威ばかりということで、思わずマニヤの顔全開。豆満江を逆に渡って片足上陸したという逸話は返答に困るたぐいのものでしたが、平壌市のごみ箱を探った、北製の衛生サック(今度産む)を入手したと喜色満面 の先生を見て、確かにさう言う研究も大事だなと思い直すのでございました。マニヤあるべしです。これからも大いに、蒐集して欲しいです。

 サテ専門家の集まりということで「どこの素人は感じ悪い」という話題がむろん盛り上がっていました。大分すると
1)勉強してない素人は勘弁
2)素人のシッタカはもっと勘弁
ということらしい。この場合の「素人」はテレビのコメンテータやなんかのことです。それは確かに困ろうなと。ただテレビの外におります、マッスの中に名無しでありますわしら一般 人の場合は、専門家の場合と違って集めた知識は披露するほか使いでがありません。それが無為に見えましても、やさしくご勘弁いただきたいと思うのでありました。

2003年2月7日(金) 割に合わない話

 ずっと以前デーモン小暮が、大徹という力士のことを「便所のフタみたいな顔」と称していたのは、洋式ではなく和式便器のフタのことなんだと、今気づいたみたいなので力強くメモ。

 具合がそんなに良くなってこないです。風邪だなんだではなく人として根本的にどうか?ということじゃないかと思われます。夜更かしとか、喫煙とか、偏食とか、喫煙とかです。原発が止まって東京都の電気が全然足らないそうであります。節電闘争をせねばならんという時に夜更かししているわたくしのような者は、そのうち摘発されて1日7時間、自転車こがされるのです。

 シャトルがしばらく飛びません。そしてロシヤの宇宙方面があわただしくなった。宇宙において米がダメなら、まだまだ露しかないのでした。今後の宇宙開拓はどうなるという気分もあってかニュースでは無人補給船の打ち上げも、いつになく動画付きで報道されまして大変結構、とはいえロシヤはお金がない。各国に資金提供してくれと言っているようです。巨額がかかるわけですねぇ宇宙は。

 冷戦時代の米露宇宙競争は、ある種の軍拡競争かなーと思ったりもします。冷戦以降は宇宙で実験をすると貴重なデータが得られると、学術目的な感じ。でも即、ビッグビズネスにつながるわけでもない。今の世の中、数字出してナンボの正義じゃいと思っておったら、切なくて頓死するほど割に合わない宇宙開拓なんであります。ノウベル賞の小柴先生じゃないけど「役に立たない研究でも大事です」系の偉業なのでせう。

 宇宙で何をしているにせよ、素人の目から見て特に、ものすごく夢いっぱいなわけですよ宇宙が。もぅただ行くだけで素晴らしい。宇宙に行きたい。誰か行ってくれと。人間は割に合わないこともしたがる生き物であります。そして未来という概念を指標上に、未知の領域に出て行きたがるのです。米も露も中も「まだまだ宇宙に行くよ」と言っているのは素晴らしく、その途上でやはり不慮の事故というのが、あるのかもなぁと考えたり。我が日本国のロケットも一層太くなって欲しくあります。

 夜、タモリ倶楽部でダムを見て興奮。いいもん作ってるんだよなぁ。

2003年2月2日(日) 墜落

 具合悪いですよ。

 スペースシャトル・コロンビア号墜落という大事故がありました。墜落というか、空中分解したもようです。昨晩0:00近くでしたか、テレビで速報が出まして、以降関連のニュースを見て回っています。ガーンです。

 コロンビアだという飛行物体は、キラキラ光る破片を出しながら崩壊しているようでした。時折小爆発が起き、航跡が太くなります。「ミールのようです」とテレビが言うのは、2001年に廃棄された宇宙ステーション・ミールが大気中で分解炎上したもようを想起しているのでしょう。まさに、それがコロンビアに起こっているわけです。

 CNNのキャスターは「飛行士は耐圧服も着ている」と希望を含めましたが、NHKで毛利衛氏の会見を見ると、予想される状況下では生存の可能性がないというのです。3時間あまり経つと乗員全員死亡ということになっていました。遺体発見とも聞かないのに、総合的に見て生存の可能性がゼロということなのか。事故発生時の高度は6万メートル、時速2万キロ。想像しても追いつかない世界ですよ。

 「米国全土が悲しみに覆われた」と言う大統領の弔辞、晴れ渡った空で煙を噴いているコロンビアの映像は、いやな感じで生傷に触るものがあります。

 去年見た番組でロケット工学の博士が「宇宙ロケットはいまだ不安定な技術で、100%の成功を期待してはいけない」と言っていました。無論、だからといって「事故は有って当然」とは誰も言わず、毎回のフライトが事故の許されないものでしょうよ。100%に近づくため多くの専門家が研究を重ねている。それにしても、宇宙開発がいかに過酷な職場であったか、改めて思い至る次第であります。

 米国の方では「悲しみと感動、そして再び立ち上がるヒーローたち」式の報道が何か性急に感じられます。わたくしとしてはむしろ事故の無惨さに目を向けたい気分です。何が起き、どのように死んだのか。何が原因だったのか。その一方で、危険な環境での研究に邁進し、志半ばにして亡くなられた人々の冥福を、心よりお祈りしたく思います。

2003年2月1日(土) 菌は招くよ

 具合悪いんです。

 話は月曜日にさかのぼりますが、インスタントラーメンの「名店シリーズ」というのがあるんですよね。けっこう良くできているという話らしい。試してみたのですよ。中身はある意味驚くべき白濁液で、ものすごい塩気と脂。食べ物と食べ物じゃないもの、その中間程にある味なんです。つまりおいしいけれど、本当においしいのかどうか最早わからない、それぐらい凄かったと。

 日々口にする食事には、会社の書類みたいなもの、世界の古典名作みたいなもの、週刊誌みたいなものなどがあるように思います。わたくしの分類で行くとラーメンはエロ本に近い。娯楽品っぽく、刺激の強さがあからさまで、なぜかエロチックな雰囲気がある。そのなかでも極めてハードコアな一品だったに違いありません。

 そして負けた。

 それを食べました直後から胃が、見たこともないようなポーズになりまして、怪しい律動を始めたのであります。翌日も、その翌日も。食事の度に胃の腑が抗議のデモンストレーション、大変苦しいんです。胃もたれがこんなに長く続くものなのかと、すると頭も痛くなってきた。何かがおかしい。

 一週間近くが経って、全身をおおう倦怠感に風邪ではないかと思い至りました。それにしてもなぜラーメンから風邪が始まったのか。ともかく、週末のうちに改善しておこうとかかりつけの医院に向かったのであります。すると待合室は弱まった人間であふれかえっている。

 医師からは「インフルエンザじゃないですね。だったら、こんな悠長な経過は辿りません」と、漠然とした総合感冒薬が処方されたのでした。しまった、これはしたり。待合室はインフルエンザだらけなのだ。これがやつらの目的だったのだ。ここにわたくしは導かれて来たのだ。この世間を菌の天下にするために、やつらは今日も新しい宿主を捜している。君たちも気を付けてくれ!

 少し寝ます。

...

2003年1月27日(月) 醜名ならねど

 査察報告やってます。しかし引き続き相撲に関してでございます。わたくしはしこ名というものに興味があり、だいぶ以前にこの辺にも、あり得ざるしこ名を書き散らした気がするんです。あり得ざるしこ名にはめでたくない文字が入っている。例えば「暗黒龍」「大悪魔」「人狼」「毒猿」「屍蘭」などは無い。力強くとも「溶岩流」「地割」など災害系は無い。と、いう訳なのです。

 妄想訓練はさておき、実際のしこ名にはどんなものがあるか。幕内力士40名のしこ名を調査しようと思い立ったのであります。力士のしこ名には親方のしこ名の一部を取って付ける例が多々ありますが、それも含めた上で名前全体がどのような意味と傾向を示しているか、ヌルくカテゴライズしてみました。

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幕内しこ名電磁分類(2003年初場所現在)

★その他しこ名の分類:淡水型(川、湖など) 御神体型(富士、不動など神仏・御神体系) やまつみ型(山を主眼とした名) 気象型(雲、雷、嵐など)

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 他の階級を見ていくと、さらに色々なしこ名のパターンが見えてきます。幕下の「戦闘竜(せんとりゅう)」は瑞獣型にもますらお型にも見えますが、実は郷土型なのです(米国セントルイス出身)。三段目の「大露羅(おおろら)」も発音から気象型であることが判別 できるのだ。へえ、そうなの。ホントかよ。

ということでどうも、すいませんでした。

2003年1月26日(日) 闘鵬にささぐ

 わたくしはそれほど熱心なすもうファンではなく、ぬるく鑑賞しているだけなのですよ。ともかく、初場所千秋楽。朝青龍が14勝1敗で優勝であります。一回負けて怪我をしてから、かえって集中力が増したような感じでした。横綱審議委員会へ諮るってんで、水曜には使者が来るということになりそうです。黄金の日々ですなや。

 話題になっていることと言えば、序ノ口から幕内までの全6階級で、日本人力士が優勝したのは序二段だけなんですね。わたくしも相撲協会のサイトに行って倒れました。

各段の優勝力士


幕内優勝
東大関 朝青龍(ドルゴルスレン・ダグワドルジ)
モンゴル・ウランバートル出身

十両優勝
西筆頭 朝赤龍(バダルチ・ダシニャム)
モンゴル・ウランバートル出身

幕下優勝
西六枚目 黒海(トゥサグリア・レヴァン)
グルジア・タビリシ出身

三段目優勝
西三十三枚目 時天空(アルタンガダス・フチットバートル)
モンゴル・ウランバートル出身

序二段優勝
東六十七枚目 闘鵬(甘利 聡司)
兵庫県尼崎市出身

序ノ口優勝
西三十枚目 琴欧州(カロヤン・ステファノフ・マハリャノフ)
ブルガリア・ベリコタロノボ出身


 フチットバートル。ベリコタロノボ。これどういう事よと言われれば、こういう事としか答えようもないのですが。外国人力士がいるからには、こういう事だって起きるわけよ。わたくし個人としては、なに人であれ強く優れたものがトップに立って良いと、思うところであります。と申しましょうか、まいったなー。いや相撲の精神を理解しておれば文句ございません。で相撲の精神って何だ。

2003年1月25日(土) 宵寝に注意

 本日あちこちの国でインタネツトの不具合が発生し、回線が動かなくなりましたので、皆困ったという話なのです。それは、気がつかなかった。日本では企業や大学校のサーバーに「信号が殺到」したそうでして、「信号が殺到」という表現が昆虫のように無感情な殺到を思わせそれとなく怖いのであります。

 友人各位の皆さまにくっ付いて、都内の弥生美術館というところに、挿し絵画家として知られる伊藤彦造の展覧会を見に行って参りました。いい晴れの日でした。絵の方は毛ほども細い線を緻密に並べたペン画が主。正確な描画、構図の良さ、表現の巧みさ。何れにもプロヘッショナルの徹底が見られます。それでそんなことは一切感じさせず、ただただ絵のステキさ、場面 の美しさばかりに見入らせるのが、まさに秀でた画家というところでありましょう。

 その描くところは物語中の美剣士やなんかで、それも危機に陥っていたり、生死のあわいに血路を開くというような図が多いのです。画風は鋭く重く、マッチョなテーマを描いてもいやに艶めかしい。艶めかしく描いたわけでもなかろうに、絵の中にある死の気配がものすごく甘く香るのであります。しかもそれは、退廃とも言えないものなのであります。彦造先生は憂国をされたので、リアルな兵隊さんや血で描いた神武天皇の絵も制作されたのでしたが、そちらは全く艶めかしくなかったのです。

 こうして半日を過ごし、寒さの増す夕暮れに、心霊写真を見るため早々帰宅。それだのに写 真を2枚しか紹介しないではないか。フテて晩ご飯を食べ、非常なスロー・ペースで日本酒をいただいておりますと、温泉につかったかの如くホカホカぬ くもるのでした。

 その素晴らしさについついマロッと寝てしまい、謎の歌声で目を覚ますと、つきっぱなしのNHKからホーミーのようなものが。ロシヤ連邦アルタイ共和国の喉歌「カイ」なのであり、歌い手はボロット・バイルシェフ。時計を見ると23:00過ぎで、まずい。今からは寝られないな、と。

2003年1月22日(水) 火山の液もれ

 「過去一万年以内に噴火した形跡を持つもの」を活火山と呼ぶことになりました。これによって日本国の活火山は108つに増加。煩悩の数だけ活火山を持つ国、日本であります。

 報道によれば外国人の凶悪犯罪もが増加したとか。これまったく別の話であります。さても、ゲンナリなのだ。この太平日本国を、何してくれるのかと。我々をアホウドリだと思ってませんか。

 日本人は平和すぎてよろしくないという意見もございます。

 1)平和すぎて、スキだらけになったのはよろしくない。
 2)平和すぎて、人間の徳が失われたのはよろしくない。
 3)そう考えてみると、平和すぎるってのもよくないなぁ。

 なにがよくないなぁだ。平和な社会でスキだらけになるのは当たり前です。スキだらけでも安心して暮らせる社会は素晴らしい社会ですよ。それを食害するものこそよろしくないんです、コノヤロー。食害するものとは外国人強盗団しかり国内にいる真性平和ボケ分子しかり。この分子どもは平和はヒマであると結論付け、硝煙の臭いがするところで泣いたり喚いたり怒り狂ったりするスパイシーな人生が送りたいと申すのです。おととい生まれてこい。

 平和は料理のようなものであります。苦労してこれを作った料理人の口には入らず、あとから来た連中に感謝もなく食い尽くされて、やれ汁がぬ るい肉が堅い、こんな味は飽きが来た。そうして汚れた皿ばかりが残った時、それを洗わされるのは食っていたのとは別 の人たちです。それでいいのか諸君。

 先人の築き上げたこの太平日本を破壊するものは、日本人であれば愛国者の正反対に位 置するものと知らねばなりません。平和防衛のためとうそぶきながら平和を決定的な危機に陥れるものは、おぞましい謀略ペテン師、イタチ、オコジョの類なのであります。こいつらの尻尾を必ず見分け、徹底的に排撃すべきなのであります。

 いま、内外にある敵どもと対峙しながら、太平国家防衛のため決然と立ち上がる時が来た。平和というものは、断じて、長髪に鉢巻きして大麻をキメながらつぶやくような生ぬ るいものではない!血を流して勝ち得、血を流して護るものなのだ!さあ死のう平和のために!!死んでオリオンの星になれ!!

 あれっどこで間違ったんだろう?

2003年1月21日(火) fromモンゴル

 第156通常国会の開会に際して花火、歌謡ショー、ゲイパレードなどがいっせいに行われませんでした。天皇御言葉を代読する皇太子殿下は、岸田森に匹敵するゴス紳士オーラを発揮。身長185cmに見えました。日常世界に存在し得ないタイプの人もこの世のどこかにはいるという多次元宇宙の構造を垣間見せていただいたのであります。

 さて早速「国技崩壊の危機」などと言われておるわけで、そりゃともかく、力士の出身地ベスト5というのを見たらこんななんですよね。

(1)愛知 58人
(2)大阪 49人
(3)東京 46人
(4)福岡 33人
(5)モンゴル 31人

 モンゴルはそんなにいるんですか。日本国に来る外国人が増えたとはいえ、モンゴル占有率がこれほど高いのはただ相撲界のみでありましょう。しかも、モンゴル力士のしこ名が凄いんですよ。時天空(ときてんくう)。猛虎浪(もうこなみ)。大天霄(だいてんしょう)。ものすごいことが起こる必殺技の名称です。しこ名ってのはそういうもんなんでしょうけれど。

 ちなみに、大露羅の体がえらいでかくなりました。

2003年1月20日(月) ザ・もののふ

 貴乃花が引退ですね。画面一杯のパンパンに大きな顔を見ながら、寂しくありました。「残念だ」「仕方ない」「よくやった」、そんな声に混じり「日本精神衰退の兆し」とか「もののふが失われる」とか「親子で冥府魔道を生きた」とかのアツい惜別 の嗚咽も聞こえてくるのであります。

 もののふ。

 何を言ゃがる、おさぶらいなんてもんは御維新と共に無くなったんですよ、それに良き日本精神 = さぶらいもののふじゃございません、日本の文化は町人がこさえましたのに自信がないってんですかこの町人めが!!…というようなことを申すつもりはありませんで、別 にさむらいになっても良い。いま戦国時代のように誰でもさむらいになれます。現代のさむらいは身分でなくて有り様、型、ライフスタイルなのですね。

 普通に戦士だったさむらいが、太平の世に精神生活を豊かにいたし、結果さむらいスタイルを成熟させた。彼らは僧や哲学者に変わったのではなく依然として戦士でありました。さむらいとは、まず肉体の厳しい鍛錬、痛みと息切れと大量 の発汗を通して至る哲学的概念なのであります、て、ニューエージ入った西洋人みたいなことをわたくしは書いてますか。

 さむらいと共に発展した武道にもそんなとこがあるんでせう。まして大相撲においておや。心・技・体に優れ、ちゅうのはスポーツにもあることと思いますが、スポーツと武道の間にある謎のクレバスについては、柔道の「国際大会では青の胴着を着用問題」にたぶん透けて見えるとおりであります。さむらい/武道のキモの部分には、宗教的要素が思ったよりあるんでないかとも思います。哲学だけではないです。

 何の話をしてましたか。そう貴乃花もののふ説でした。上記のようにぐだぐだ考えますに貴乃花は確かにもののふであったと、こう思うんでございます。彼は強かった。技術は確かだった。型は、格好の良さ、勝ちざまの良さ、相撲概念発現において全くよろしかったじゃありませんか。そこがわたくしから見える彼の「心」であります。壊れて負けつくすまで戦った戦士でありました。土俵で死んだのです。実際には生きてますけど。

 母ちゃんは「もう相撲見る気がしない」と。いいじゃないか、今場所は朝青龍も張り切ってるのに。「だってモンゴルなんだもん」。ダグワドルジじゃだめなのか。ダグワドルジは傑出した闘士ですが、将軍になれるか、どうか。ダグワドルジよチンギス・ハーンになれ。

 したら朝青龍負けちゃったんですよねェ。しかも肉離れらしいですよ。

2003年1月17日(金) 雑感

 東京都品川区にある旧正田邸は「昔のお金持ちの洋館」的、古めかしいところがステキくさいお屋敷であります。現皇后の生家として知られますのが、わけあって税金がわりに物納。解体が開始されたもんで、それに抗議する人々が集まって参りました。格好いい家を壊してもったいない&皇后生家を壊しておそれ多いということです。感極まってこのように叫ぶ人が。「皇室の財産に手をかけて祟りがないと思うな!」。皇室は祟るのか。

 金にっせい将軍の歌と共に、まんぎょんぼん号が入港いたしました。前の日誌で北の朝鮮は奇妙だと書いたのであります。わたくしの母ちゃんも中央放送の激昂したアナを見ながらうっかり笑い出すのですが、北の朝鮮は昔の日本にそっくりだョーと申します。学校でもどこでもご真影がかかっており、「お父様」とは呼ばれなくとも国民皆かの方の赤子(せきし)であり、語録も家系図も暗唱であり、血の決戦上等、鬼畜米英だったのであります。

 戦時下の国においてそうしたことが自然だというなら、北の朝鮮も奇妙なのではないのでした。しかし、わたくしは当時の日本国を知らないのでやっぱり奇妙に写 るのは致し方なく。可笑しいのは外にいればこそでしょうね。

 歯科医に通い出して一と月以上経過しました。このところは毎回根の中を探られるのであります。神経を抜き取られ、むなしくなった根の中。唇に金属のフックを引っかけられ、探知機が「プッピピポ」と愉快な音を立てて鬱が深まる時間であります。神経の切り口を突かれると哀しい鳴き声を発する自分。しかし炎症はおさまりつつあり、わたくし自身にさえ気づかれぬ まま、わずかな細胞が日々ひそかに死んでいくばかりであります。

 さう言えば、阪神大震災からもう8年も経つんですね。児童の頃、核ミサイルによる死か地震による死、どっちがいつ来るのだろうと考えていました。地震はもちろん、核ミサイルがありうべき死因の一つとして、近ごろまた急浮上なのはどうしたもんかと。

2003年1月15日(水) 本文読み上げます

 「地球の恥」「憎悪に身震い」「血の決戦」「火の海にする」「退廃文化」「おぞましい茶番」「卑劣な」「絶対に許されない」「地球を壊す」「謀略」「米帝」「日帝」などなど。

 北の朝鮮が発するボキャブラリンを、いちいち書き出して蒐集さえしたいのであります。最大級、最強度の形容がパラノイア的ガチンコ結合。RPGのラスボス、つまり最後の敵が繰り出す必殺技名みたいな、凝った重々しい字ヅラが延々続く。どうなのかというとすでに滑稽の域であり、ニュースを見るたびにうっかり笑ってしまうのであります。

 我々にとって北の朝鮮が生々しくも深刻な存在であることは先刻ご承知でして、一方で連中がひどく奇妙なのも確かです。テレビもはじめはおっかなびっくり、真面 目な報道にかこつけながら、最近はより堂々とむしろ嬉々として、この奇妙さを取り上げております。笑えない漫画、連続不条理劇場・北の国から。高視聴率です。

 これはもうすでに誰かが「大阪弁変換プロキシー」みたいな、北の朝鮮変換プログラムを作っているのではないでしょうか。まだなら、ぜひ開発お願いします。例えば、

松井が入団会見
巨人からFAで大リーグのヤンキース入りを決めた松井秀喜外野手が、日本時間15日午前2時すぎ、ニューヨーク市内のホテルで入団記者会見。「最高に幸せ。早くバッターボックスに立ちたい」と語った。(01/15 03:00)

 これが

親愛なる同志松井が入党会見
地球の恥巨人からおぞましい茶番FAで米帝大リーグのヤンキース入りを決めた松井秀喜外野工作員が、軍国主義日帝時間15日午前2時すぎ、退廃文化の総本山ニューヨーク市内のホテルで入党記者会見を決行。「最高に幸せ 将軍様のおかげです。早くバッターボックスに立ちたい 火の海にする」と憎悪に身震いして語ったのである。歴史的悲劇であり絶対に許されることではない。(01150300号電文)

 みたいになってほしい。なってほしいのか。

2003年1月13日(月) スパム神楽

 わたくしの電子郵便箱にも皆さまお悩みのスパムが届きます。カスのように無価値な宣伝メールが、頼んでもいないのに届くのであります。コノヤロー。

 スパムには日文のものと英文のものがありますが、内容はほぼ同一。カネと性。世界の合い言葉です。微妙な相違点もあり、例えば英文ではへのこ増大法のご紹介が多いのです。それもモンスターサイズにしようなどとある。こういうのは日文にはございません。興味深いところでして、日本人は48手などの技巧やイメクラ的シチュエーションへのこだわりがより大きいのかも知れない、などと。

 カスメールは通常、一瞥だに与えられぬまま順次ごみ箱行となります。誰にも望まれず生まれてきました。それは呪われた、むしろ呪いの送信を目的に創られた存在なのであります。あな、いとわしや。スパムに良い便りが書かれていたためしなどないのだ。しかし、しかし。

画像を
なくし
ました
 ある時、こんな宣伝が!!

 これは何かと申せば、こっそりと鳥を覗くための窓なのであります。鳥の側からは鏡としか見えず、より正確には己の姿が見えるばかりで、仲間か敵かと寄ってくるのであります。鏡はいわゆるマジックミラーなのでして、室内からは鳥の姿がまるわかり。至近距離からフワフワの羽毛がむっくりと毛羽立つ様や、いちいちの仕草までが観察可能という、鳥マニヤには総毛立つほど夢のような変態商品でございます。

 なんと素晴らしいのか。思わず喉から、無数の手がニュッと出たのですが、よく考えてみたらうちの窓ガラスは素通 しではない。でこぼこした目隠しの加工がしてあって、鳥が覗けない。あきらめたのであります。

 しかし、よくこの写真を見れば、人間が覗き窓に近寄る姿をガラス越しに見て、鳥は必ず飛び去るのではないかと。そういう大事なところが未解決のダメ商品なのでしたよ。至近距離から覗きたい、その一心で窓の前に立ち続けるしかない。そこまでやると社会に適応できなくなってくる可能性も、はらむのであります。

2003年1月11日(土) 出没

 再び所用があって里の家に帰り、再び高尾に行って、帰ってくると世間様は3連休。高尾の住宅地には「猪出没注意」という実にいい絵の手書きポスターが貼ってあり、なるほど雪の上に犬猫ならぬ 何かの獣の足跡がついているのでした。

 わたくしの里の家はかつて「電波が強い」電波ハウスであり、「電波防止の機器」なるものを取り付けて以来、一連の奇怪な出来事(ラジオが突然付くなど)がなくなったのでありました。内容はともかく、怪現象に実績のある家です。正月からこの方また妙なことが発生していました。1階に家族で居ると、2階から話し声が。また、2階のテレビがついたようでした。見に行ってみると誰もいないし、テレビも消してある。1階に戻るとこんどは床をならして誰か歩いているのであります。

 何なのかというと2階の窓から近隣の騒音が入ってるのでして、足音は車のドア。話し声は近所の無線マニヤで、1階は防音工事をしてあるにつき全て2階から音が入るのです。理屈がわかってもこれは不思議でした。と、申しましょうかうるさいであります。

 さう云えば普段暮らしているねぐらでは、床下のネズ公にビビらされたことがありましたっけ。床下で連中が全力疾走すると、見えない誰かが部屋の中を走っているかの音響効果 なのであります。鼠の走る音って大きいんですよ。子供がいるのかと思います。鼠だとわかってからはこの現象が面 白くてしょうがない、とは云え、できれば床下から出てってくれと鼠には申したいのであります。

2003年1月6日(月) 正月凡庸記

 仕事始めで、不おめでとうございます。いつもながらの義理欠き正月、黒い羊のわたくしにも新春がやってまいりました。本年も遊ぶことばっかり考えて参りますので、よしなにお願いいたします。

 さて、年末年始と都内某所に潜伏しておりました。里帰りともいいます。何をするでもなく!凡庸で安定した正月を過ごしたいと考えてのことであります。大晦日、先づは紅白を見て最寄りのお寺へなぞと。初詣なるものはここ数年しておらなんだ。道々一足ごとに過去へ戻っていくような懐かしさと、町も人も不意に顔を上げて「お前を知っているぞ」と言い出しそうな居心地の悪さとが感じられます。

 境内、露店のまぶしい灯りは暗闇に広がらず、群をなした人々のざわめきもしかりであります。雲のように居着いた食べ物のにおいと線香のけむを抜け本堂に上がって参りますと、護摩の残り火にいそいそとお財布をかざしている人がいて愉快でした。効果 のほどは。次に裏手の大日如来に回り、石段を下りて役行者(えんのぎょうじゃ)のほこらへ。行者は若い時分より山へ登って修行したゆえ健脚の御利益ありといわれております。

 折角健脚を得ましたので、4日に高尾山へ登って参りました。東京都八王子市の山で標高599メートル。山にしょぼい山などないのであります。ケーブルカーもあるんです。そっから頂上まではちゃんと歩くんですよ!この静寂、さわやかな冷気に鳥がさえずり、足元を見れば雪がバリンコバリンコ。23区内でもちらついた雪が、こちらではも少し降っていたのであります。頂上に着いてみますと、せっかくの富士山が向こうの方にけぶっておられるのでした。

 そう簡単に健脚になるものでもなく、見るも無惨な筋肉痛をかかえながら、正月ぐらい北の朝鮮を見ないで済ませたいと願いつつも、テレビではくだんの中央放送に「(拉致問題で騒ぎすぎると、日本は)そのうち喉頭癌になるかもよ?ウェー ヘッヘッヘ」との放送ありという奇怪な報道でして、つながりかけた筋繊維もダランと脱力しきって垂れ下がるのでありました。

 さう言えばこのような初夢を見たのであります。わたくしは金正日を含むグループと共に北の朝鮮を脱出しようと試み、逮捕されました。「俺は金正日だぞ!」と兵隊に怒る金。しかし、皆の持ち物を交換して変装していたため、細いフレームの眼鏡に洒落た帽子の金は本人として認識されなかったのであります。「俺の前の眼鏡を出してくれ!」いつもの眼鏡をかけ、「よ〜しこれで…」と意気込む金。これはいい夢なんでしょうか。そうも思えませんが。


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